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樽口の穴堰(たるぐちのあなぜき)
小国町指定文化財(史跡第3号)
昭和59年3月31日
小国町大字樽口地内
樽口地区(代表大字樽口総代)
全長112.5m
取水側(日影沢)導水路長17m
落差5m
導水口の大きさ 縦:約120cm、横:約80cm
樽口は小国町の南部、足水川の上流域に位置する戸数10戸ほどの集落である。
その昔、樽口は日々の飲料水はもちろんのこと田用水にも不自由し、長い間水不足に悩まされ続けて来たところである。
明治20年ごろ、水不足解消のため集落東側尾根の山腹に隧道を穿ち、山の裏側を流れる日影沢の水を引くことになった。堅い岩山に隧道を掘るにはかなりの困難が伴い、途中で工事請負者も逃亡するなどして失敗し工事は中断した。しかし、村人達はあきらめることなく村の有力者を中心に相談を重ね、頼母子講などで資金を集め、明治22年着工、ついに同26年、村単独事業による全長112.5メートルの隧道、「樽口の穴堰」は完成した。
隧道は内部で約1メートルの段差があるが、これは日影沢側と樽口集落側の両方向から掘り進められた事を示している。また落差は実地測量の結果約5メートルであった。
工事の完成により、穴堰を通して引き込まれた水は、用水不足に悩まされ続けた田地約4.5ヘクタールを潤し、その上生活用水にも使用された。さらにこの穴堰は村人達により手入れが続けられ、一世紀以上経た今でも使用されている地域の宝である。