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円長寺の大日如来像(えんちょうじのだいにちにょらいぞう)
小国町指定文化財(彫刻第11号)
昭和59年3月31日
小国町大字朝篠
朝篠地区総代
像高24.5cm
肩幅11cm
両膝巾17.3cm
JR松岡駅の500メートルほど東に位置し、横川左岸に面した朝篠(あざしの)地内。ここに、真言宗(豊山派)の寺院如意山円長寺がある。当寺の本尊である大日如来像は、昭和59年3月31日、「彫刻第11号円長寺の大日如来像」として町の文化財に指定され、その後、「広報おぐに」(昭和60年8月号)でも紹介された。当時の広報によれば本像の概要は次の通りである。
「円長寺は、二百数十年前火災に遭い、縁起や由緒など寺歴を伝えるものはすべて消失してしまったという。そのため、本像の製作年代や由来等について詳しいことはわかっていない。
ところで、大日如来は、真言密教の中心となる仏で、密教の世界では二つの現れ方をすると言われている。
一つは、理徳の面を示す胎蔵界の大日如来で、悟りの境地を示す法界定印(ほっかいじょういん)という手の組み方をする。これは、腹前に両手をそろえ、左の掌を仰いで置き、その上に右手の甲を重ね、左右の第一指の先をつける形をしている。
もう一つは、知徳の面を示す金剛界の大日如来で、智拳印(ちけんいん)という手の組み方をする。智拳印は、胸前に両手を置き、左手を下にして拳をにぎり、その第二指を立て、右手の拳でこれを握ると言う忍者の印のような形をしている。
本像は智拳印を結んでいることから、金剛界の大日如来であることがわかる。智拳印は、右手が仏をあらわし、左手が大衆をあらわすという。大衆を仏に組み込み、大衆の悩みを悟りに転じる様を示すものである。また、忍者を思わせる印相は、深い思索の後、悩みを悟りに移そうとするときの姿勢ともいえる。
この仏像は、高さが24.5cm、両膝幅17.3cm、肩幅が11cmの木造り(※)で金漆箔が施されている。他に、本町ではこのような像は発見されておらず珍しい仏像である。」
※ただし、「おぐにの文化財」やリーフレット「おぐにの文化財」では銅像と記されている。